失敗しないPV作りの最終回です。さてちょっと間が空いたのでここまでのおさらい。 1、お金がなくてもエイやっと作る。 2、まず大事なのはPVの方向性を決める。 3、アイデアを考えて、具体的に内容を決める。 さて、ここまではある意味「考え方」です。今回は実際に作りはじめた時の「失敗しないコツ」を書いておきましょう。といっても現場現場で出す知恵も違うし、技術も違うしなぁ。それなので、当てはまりやすいことをランダムに上げておきます。 ●タイトルを入れる。 当たり前ですが頭にタイトルを入れておきましょう。放送されるPVはTV局側が入れる場合が多いので、基本的にPVにタイトルはいれません。インディーズの場合は動画サイトへのアップですから、曲タイトルを入れましょうね。おっとバンド名も。その方が認知度が高くなります。ただし入れ方とタイミングです。まず無音で曲が始まる前にタイトルを入れるのはやめておきましょう。前奏とか歌前に入れておきましょう。後ラストに「最後まで見てくれてありがとう」のメッセージを入れておくと効果的という話を聞いたことがあります。まあそこまでしなくても。 ●短いバージョンで作る。 えーと、初めて作る場合は2分とか目安を決めて、曲の一部を使ったPVを作りましょう。もしくは動画サイトアップ用のショートバージョンを作りましょう。1曲まるまるPVを作るとなると、初心者は途中で息切れします(編集のリズムが)し、またアイデアの配分が大変になります。またそれだけ映像の素材を撮影しなければならないので大変です。簡単に言うと「途中からダルい」状態になります。勢いのある時間だけで勝負しましょう。 ●あくまでも曲のプロモーションとして作る。 バンドのプロモーションとしてのPVという考え方もありますが、曲の魅力をまず伝えようと考えましょう。その方が世界感を作りやすいからです。でも自分たちが魅力的に見えるよ工夫も忘れずにね。 ●ワンポイントだけ過剰に。 あれもこれもはやめて、シンプルにこだわりはひとつにしましょう。こだわりとは「このPVではヴォーカル君が目立てばいいや」という割り切りです。もしくは「曲のイメージは夕焼けなんだよね」という事なら「夕焼け」にこだわるといったことです。メッセージの、あるいはアイデアの求心力が強まります。 ●現場は真剣味とリラックスのミックスで。 PV作るなら真剣に作りましょう。撮影現場もね。でもガチガチの緊張状態では、まあそういう画が撮れてしまうので気をつけて。一番いけないのはカメラを持った人間の緊張感が伝わること。バンド側はやっぱり撮影者の要求に応えようとしますから、緊張が連鎖します。真剣でも肩の力を抜いてやりましょう。でもまあプロの中には怖い人もおりますね。助手怒鳴ったり。DもCも無口が一番いけませんなぁ。語りかけてリラックスさせましょう。 ●カメラは空中に浮かせる要領で。 撮影の初心者は、三脚を使用しない場合、「カメラを顔の横で固定させて動かないように」というマニュアル通りの持ち方をして失敗します。カメラは身体から離して、腕をクッションにして空中に浮かせる感覚で持ちましょう。空中に浮いたカメラが実はPVのフリー感覚と合っているのです。まあ練習すればすぐ感覚がつかめます。 ●アングルはちゃんと探しましょう。 よくインディーズのPVを見ると、撮影の視点がカメラを持つ人の視点と変わらないことがあります。どういうことかと言うと、カメラの位置がカメラマンの身長であり続けるということです。これでは変化のある映像を編集することは出来ません。とにかくバンドの魅力を探すためには、アングルをちゃんと探しましょう。身体を折り曲げたり、寝そべってもね。プロの現場はもうアングル探しで時間がかかります。 ●PV撮影はまあ基本同じ演奏を最低3回は撮りますよ。 演奏をしているバンドを映像のメインにする場合は、裏表、そして部分撮りの最低3回は撮影します。そうしないと編集のための素材が揃わないからです。裏表とは、多分メインで使うだろうなと意識して撮影するのが「表」。その表がヴォーカル君のアップだったら、全体を押さえる画が「裏」になります。メインが右サイドから撮影した画であれば、左サイド、もしくは正面から撮った画が「裏」です。部分撮りとは、ギターソロの手もとを撮りたい、ドラムのプレイをインサートしたいと、あらかじめ想定しておいた撮影のことを指します。この素材がないと望むPVは出来上がらないので、バンドは嫌がらずにがんばりましょう。 ●演奏はCD音源に合わせて演技しましょう。 生演奏を3回繰り返してもいいのですが、ミスが出たり、曲の長さが微妙に違ったりしますので、ここは録音しておいた演奏を撮影時に流して、演奏は「ふり」をしましょう。その方が無難です。演奏に神経を割かずに顔の表情とかに気を配れたりメリットもありますよ。また無音である必要はありません。編集の際のガイドとして音は必要になりますからあっても構いません。ただしヴォーカルだけはマジに声出して歌ってくださいね。声を出していない口元は映像ですぐバレるので迫力と言うか、エネルギーが伝わりません。 プロのPV制作者が読めば「おいおい、そっから教えるのかよ」ということばかり書いてしまいました。でも初心者用の、特にバンド向けのPVの教材ってないんですよね。また、意外とバンドってPV制作者と出会わないんですよ。お互いが探し合っているんだけどなぁ。どうしてなんだろう? 一応PV講座は今回で終りです。作り手側の方ではもう少し具体的に書いておきたかったのですが、さしあたって必要なくなったみたいなので。バンドの皆さん、カッコいいPVを作ってアピールしましょうね。メジャーと同じ方法論を待っていても事は進みませんよ。
by parabola_drill
| 2010-03-23 15:25
| 板わさヴィスコンティ
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