kazmyさんの曲『木枯らしエナジー』を『木枯らしエレジー』と間違った話は、深川のイベントでもkazmyさんが話していたのだけれど、私の年代ってエレジーという言葉は、歌謡曲のおかげでたっぷり染み込んでいるのです。エナってところまでは頭がついていっているらしいのですが、その後はレジーって普通に打っちゃったり、口が動いてしまいます。 深川イベントで確か三村君が「エレジーって何ですか?」って言っていましたが、本棚から見つけましたよエレジーを。悲歌とありますね。この本では「ひか」と読ませていますが、悲歌という漢字を見ても、私の頭の中は勝手にエレジーと翻訳をしてしまうのです。 まあ、ガッツリ単純に言ってしまえば、哀しいお話ってことになります。それにセンチメンタルが加わっていますかね。報われないとか、耐え忍ぶとか、そんな状況の中で主人公が日々を送る訳ですね。でも悲劇、大悲劇という,もうドラマティック!というか大河ドラマ的な感じではなく、もっとつましい感じがしますし、そこがポイントだったりします。 うまく言えませんが「身の丈にあった悲劇」とでもいいましょうか。それは欲望全開の状況とは違って、「我慢しているのは私だけではない、社会もみんなも我慢しているんだ」という感じでもあり、どちらかというとストイックが勝っている感じとでもいいましょうか。今なら「Mですから」で終わってしまう感があるのです。 昭和40年くらいまでは日本に普通にあった感情です。それがいいとか悪いとかの問題ではありません。反省の意味を込めて毎日電車でヘビロテで『木枯らしエナジー』を聴いていますが、kazmyさんのこの曲は「エレジー」に対する、彼女世代の抗し方だって思いはじめています。押さえきれない、収まりがつかない、名称を付けがたきものを悲劇に振るのは意外と簡単です。でも『木枯らしエナジー』はその真逆で、内包する「なにものか」を素直に表すには、ちょっとやそっとでは出来ないよ〜!チャンとしたパワーが必要なんだって、そのエネルギーを自分の中で復活させようという自分に対する自分の意思表示の唄だと思います。なんだか他人事にキレイにまとめた応援ソングが多い中、出色の曲ですね。kazmyさんらしい言葉がたくさん詰まってますし。『約束』に繋がっているスピリッツは同じものです。 自分を少し悲劇に振ってストレスを軽減させてきた習性を「エレジー」と呼んでいた日本人。それはやっぱり戦争や敗戦という重さをそのままでは受け止めることが出来なかったんですよね。あまりにも重過ぎて。ですからやっぱり必要な感覚、感情、そして言葉だったんだと思います。 それに比べてみると、やはり新しい世代が負っている重さは前の世代の重さとは異質なんだと思いますし、音楽家といった狭い範囲ではなく、いろんなことをしながら生きていっている若い人たちの間では、クリエィティブな自分=何かに取り組んでいる自分というポジショニングが、とても大きくのしかかっているのだと思います。私たち世代よりも今の若い人たちの方が、ずっと「生まれてきたからには何か存在証明が必要」という思いは強いのだと思います。私たちの世代はいま思えばまだ「大きい潮流の余波の中」にいましたから、存在証明は参加することで果たされたりもしましたから。勝手な思いですけど。 6/18 下北沢mona recordsでkazmyさんがソロ・ライブをすることが決定したみたいです。楽しみですね。 二日酔いで頭を押さえているわけではありません。西日がまぶしい中、川を見ると浮かんでくる特別な情緒に思いをはせているkazmyさんです。 振り向いて二日酔いの表情をみせるkazmyさんではありません。自分の背後の「えさ友」の文字が「私のアーティスト・イメージを大幅に壊しているんですけど」という抗議のアイコンタクトをパラボラに送るkazmyさんです。 #
by parabola_drill
| 2010-05-20 12:58
| 音楽と一緒にどこ行こう
滝修行よりドンジャカを選んだ竜リカ。修行の地に戻ってくることはなかった。それに困ったモリミィさんは小巫女に修行させる決心をした。 こうして竜リカは音楽の極意の一端を垣間みることが出来ずに終わったのである。未完もまた人生である。 小名木川に赤い夕日が落ち、萬年橋にはすでに人影はなかった。 ーパラボラ温度(本編)完ー #
by parabola_drill
| 2010-05-19 13:10
| パラボラ温度
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by parabola_drill
| 2010-05-18 11:03
| おもちゃな日々
カメラのおもちゃを集めていると、よくされる質問は「どれが一番(好き)ですか?」というもの。まあ「なんでそんなもの集めているの?」という質問も多いのですが。どれが一番好きかと聞かれても返答に困ります。全部可愛いですからね。 でも思い出が一番濃いというカメラはありますよ。その順番はあります。買った時の思い出一切無し、というカメラもありますが、ほぼわずか。その順でいうと写真の置物系カメラが一番です。 もう35年以上も前の山陰の港町で買ったものです。なぜ一番思い出深いか(記憶が濃いか)というとですね、初めて家人の実家に結婚前に行った時のものだからです。 駅に迎えに来た家人(その頃はそうではありませんが)直接家には行かず、駅前のちょっとおしゃれな喫茶店に入って、実家でのベカラズ集というか注意事項のレクチャーがあった訳です。まあ当然ですね。コッチもねちょっと重たい気分ですからね。家柄とかじゃなくて「ウヘェ〜敷居が高いよう。オヤジさんは怖い人かしら」なんて思っておりますからね。とまあ、緊張の二人な訳です。 家人はなかなか腰が上がりません。帰るのがなんとなく嫌だなって顔に書いてあります。連れてくる男の評価次第ですからね。清水の舞台から飛び降りる気持ちがないと。でも、ズルズルと駅前でヒマつぶしをする訳にもいかず…。 その喫茶店は当時の流行だったのですが、女性向けのファンシーグッズ(ははもう死語ですね)を売るコーナーがありまして、そこを覗いて重い空気を取り払おうという気分になったわけです。自然とね。そこにあったのが560円の値札のついたこのカメラでした。 当時はカメラのおもちゃの中でも黒いリアルなヤツを中心に集めていましたから、この手のファンシーwなやつはどうかな?と思ったのですが、家人がプレゼントしてくれました。 その後の数日間は緊張しっぱなしでしたから、このカメラは封も開けずにバックの中へ。手にしたのは東京のアパートに帰って来てからです。 大きさはタバコの箱くらいの大きさです。今みると意外とリアルですね。ファンダーの中の写真は家人ではありません。取り替えられるようになっています。まあ、この写真を家人の写真に入れ替えるような性格ではないので買った時のままです。 でもこのカメラ写真立て系ではなく貯金箱です。ほら背面にお金を入れる所と、取り出すフタがあります。 あらら!本当にいま気がつきましたがLOVEとあるじゃあ〜りませんか!ひょえ〜恥ずかしいぃ。私自身も家人もその時は絶対そんなこと意識して買った訳ではないはずです。でもあの時家人の実家の人々に私がキャンセル、もしくはチェンジを言い渡されていたら、とっても重い重いカメラのおもちゃになっていた所でした。うーんファンシーグッズ系は男にはやはり危険だということですね。 LOVEをお金で買っちゃいけませんですねえ。 #
by parabola_drill
| 2010-05-16 12:08
| 置物系カメラ
中野に一人で行って、お腹が空いている時はタブチのカレーを食べることが多いかな?とにかく大盛り。激安ですがカツとかフライ系の定食はもうギブアップ!60のおじいちゃんにはキツ過ぎます。昔はペロリだったのにな。ハトバさんやトマスさんには小盛りかなとは思います。 なんだか年をとってもお店の選択が変わりませんね。大人になったらいい店に行って、若い時は食べれないものを食べて、というのが普通の道なのかもしれませんが、30歳から40代にかけて、そういうお店の取材の仕事が多くて全国を回って食べちゃったんですよね。そのせいなのかあんまり外では高価なものを食べなくなりましたね。美味い高いにはちゃんと理由があってね。なるほどと思う時と、威張ってるだけだろう、とツッコミ入れたくなる場合も多々あって。 それにきれいな座敷や空間の中で、高い食事をしている自分がとても違和感があって、こりゃ自分じゃないなと思いました。 それよりお金がなくてひとつ上のメニューが食べられなかったお店の、ちょっぴり高いメニューなんかを頼んでいる方が自分らしいと勝手に思っています。カレーしか頼めなかった店で、かつカレー頼むとかね。そうしている方が平和です。なんだかそうやっているうちに、相対味覚的なものが発達してきてね、なんでも美味しく食べれてしまったりします。 タブチのカレーは甘いですよ。辛くはない。でもほら青春の味ってやつです。私は好きな味です。決してC-cazさんが好む今風なおしゃれなカレーでもありません。お店は2階にあるので階段を上がるでしょう。そうするとね、なんだか自分の年齢が若返る感じがしてしまいます。なんて言ったらいいんでしょう。C-cazさんなら卒倒する感じ?古いでもない、懐かしいでもない、妙な感覚におそわれます。 あ〜あ、そういうことをちゃんと言葉にしておかなければなりませんね。ダメですねぇ。こういうレポートもそろそろ潮時です。だって伝えることが個人的すぎますからね。 #
by parabola_drill
| 2010-05-16 02:43
| 前夜祭の忘れ物
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